「エネルギー戦略」は、エネルギー政策、電力市場、エネルギー事業の動きを、政策・市場・事業の3つの視点から読み解くブログです。
エネルギーをめぐる環境は、大きく変化しています。再生可能エネルギーの導入拡大、蓄電池の普及、電力市場の改革、送電網の制約などに加え、近年はAIデータセンターの急増によって、電力需要そのものが大きく変わり始めています。
こうした変化は、単に「どの電源が増えるか」という問題にとどまりません。電力をどのように作り、運び、蓄え、取引し、利用するのか。そして、それを支える制度や市場はどうあるべきなのか。
本ブログでは、こうした視点から、国内外のエネルギー政策と電力システムの変化を追っていきます。
主なテーマ
特に重点を置いているのは、次の分野です。
- 再生可能エネルギー
- 蓄電池・エネルギー貯蔵
- 電力市場・電力自由化
- 送電網・系統接続
- 電力システム・需給運用
再エネについては、太陽光、洋上風力などの導入政策や事業性、市場制度を取り上げます。
また、再エネの拡大と表裏一体となる蓄電池、送電網、電力市場についても、制度と事業の両面から考察します。
さらに、原子力、地熱、火力、天然ガスなどの電源や燃料についても、エネルギーシステム全体との関係を踏まえながら幅広く取り上げていく予定です。
現在、特に注目しているテーマ
現在、特に重点的に追っているのが、米国のAIデータセンターと電力システムの変化です。生成AIの急速な普及によって、米国では大規模なデータセンター建設が相次ぎ、これまで想定されていなかった規模の電力需要が生まれています。
その結果、発電設備の確保、送電網の増強、大規模需要の系統接続、容量市場、電力料金、データセンターと発電所の併設、需要家による電源確保、電力会社や電力市場の制度改革など、電力システムのさまざまな問題が一気に表面化しています。特に、ERCOT、PJM、SPPなど米国の地域送電機関(RTO)の動きには注目しています。
AIデータセンターは、単なる新しい電力需要ではありません。「需要を前提に供給を計画する」という従来の電力システムの考え方そのものを変える可能性があります。そのため、現在の米国で起きている変化を追うことは、将来の電力システムを考えるうえでも重要だと考えています。
政策・市場・事業を一体として見る
エネルギー問題を考える際には、政策だけ、市場だけ、あるいは個別の事業だけを見るのでは不十分です。政策によって市場制度が変わり、市場制度が事業者の投資判断を変え、その投資が電力システムやエネルギー政策をさらに変えていく。この相互作用を見ることが重要です。
本ブログでは、「政策 → 市場 → 事業 → 投資 → 電力システム」という流れを意識しながら、エネルギーをめぐる変化を追います。
また、海外の制度を紹介するだけではなく、「なぜその制度が必要になったのか」「誰が費用を負担するのか」「市場はどのように反応するのか」「日本にどのような示唆があるのか」という点も考えていきます。
米国の動きを日本から見る
米国では、地域によって電力市場や送電網、規制制度が大きく異なります。ERCOT、PJM、SPPなどの取り組みを比較すると、同じ「AIデータセンターによる電力需要急増」という問題に対しても、異なる制度的アプローチが取られていることが分かります。
こうした海外の事例を追うことは、日本のエネルギー政策を考えるうえでも有益です。海外の制度をそのまま日本に導入するのではなく、「なぜその制度が生まれたのか」「どのような問題を解決しようとしているのか」を確認したうえで、日本の電力システムとの違いを考えます。
このブログのバックボーン
私のエネルギー分野での仕事の出発点は、政府系金融機関で電力産業を担当した経験にあります。電力会社などの事業者を対象とした融資、調査、海外業務などを経験し、その後、シンクタンク、大学、自動車業界など、さまざまな立場からエネルギー問題に関わってきました。
そのため、本ブログでは、政策資料や市場データだけではなく、エネルギー事業が実際にどのように動くのか、投資判断がどのように行われるのかという事業面も重視しています。エネルギー政策を「制度」の問題だけとして見るのではなく、そこから生まれる投資、事業、企業行動まで含めて考えることが、本ブログの基本的な視点です。
変化の途中にあるエネルギーシステムを追う
エネルギーをめぐる環境は、現在も大きく変化しています。
再生可能エネルギー、蓄電池、送電網、電力市場の変化に加え、AIによる電力需要の急増、原子力や地熱など既存・新規電源をめぐる動き、燃料をめぐる国際情勢など、さまざまな要素が絡み合っています。
そのため、特定の技術や制度を最初から肯定・否定するのではなく、実際に何が起きているのか、制度や市場がどのように変化しているのか、事業者がどのように対応しているのかを追いながら考えていきます。
エネルギー政策や電力市場は、制度が変われば終わるものではありません。制度変更によって市場が変わり、市場の変化によって新しい制度が必要になる。その動きを継続的に追いながら、日本と世界のエネルギー戦略を考えるための材料を提供することが、このブログの目的です。
執筆者
山家公雄(やまか・きみお)
エネルギー政策研究所長
政府系金融機関で電力産業を担当した後、シンクタンク、大学、自動車業界などでエネルギー政策・事業に携わる。現在は、再生可能エネルギー、蓄電池、電力市場、系統を中心に、国内外のエネルギー政策と事業動向を分析している。現在は、特に米国のAIデータセンターと電力システムの変化に注目し、ERCOT、PJM、SPPなどの制度改革を追っている。
詳しい経歴・著作等については、詳しい経歴・著作等については、「山家公雄 Profile」をご覧ください。